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仲裁型エスクローとの比較
一般的にエスクローとは、取引に際し、信頼できる中立的な第三者を仲介させて取引の安全性を確保するサービスのことを指します。
通常の仲裁型エスクローは、信頼のおける中央集権が存在する不動産取引や、eBayやメルカリといったマーケットプレイスなどで幅広く使われています。
また、DAOのメンバーなどが第三者として当事者間の紛争の仲裁を行うプロトコルがいくつか存在します。
具体的な方法としては、seller・buyer・第三者(仲裁者)の間で次の手順で行われます。
buyerは仲裁者に代金を預ける。
sellerは仲裁者への入金を確認し、buyerに商品を発送する。
buyerは送付された商品を確認し、仲裁者に商品の到着を報告する。当初の取引内容と異なる場合は、商品の返送または取引破棄をすることができる。
仲裁者はsellerに商品代金を送金する。
DeDealと比較した場合のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
・取引失敗時の補償
取引失敗時に、当事者は補償を仲裁者から得られる場合があります。この補償の原資は、成功した取引の手数料です。
デメリット
・仲裁者による不正
仲裁者の着服や賄賂による不公平な仲裁などの不正を防ぐ必要があります。
・仲裁者への手数料
仲裁者への報酬を支払う必要があります。
・仲裁者による検閲
仲裁者は取引の内容を確認する必要があるため、取引当事者のプライバシーが侵害されます。
・事実認定の難しさ
紛争の当事者が提出する証拠から客観的な情報を得ることは本質的に不可能であるにも関わらず、仲裁者は裁定を下す必要があります。例えば、「適切に商品を送った・送られていない」といった争いが起こった際に、どちらが嘘をついているのかを第三者が正しく判断することは難しいでしょう。
マルチシグロックアップ型エスクローとの比較
取引の両当事者がデポジットを行い、デポジットの解放を両者の合意によってのみ行えるようにすることで、第三者を必要とせずに取引の強制力を発生させるマルチシグロックアップ型エスクロープロトコルが存在します。
具体的な方法としては、seller・buyerの間で次の手順で行われます。
sellerはデポジットをプロトコルに送金する。
buyerはデポジットと商品代金をプロトコルに送金する。
sellerはbuyerに商品を発送する。
buyerは送付された商品を確認する。
sellerとbuyerの両者がデポジットと商品代金の解放に合意する。
プロトコルから、sellerにはデポジットと商品代金、buyerにはデポジットが送金される。
DeDealと比較した場合のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
・制裁発生時の損失の限定
取引失敗時の損失が、sellerであればデポジットと商品本体、buyerであればデポジットと商品代金に限定されています。
DeDealの場合は、制裁が行われた回数分だけ両者の損失が大きくなります。
デメリット
・詐欺への制裁コスト
sellerが商品を送付しないなどの詐欺を行った際は、、buyerはデポジットの解放に合意しないことによってsellerに制裁できますが、制裁を行った場合は自分のデポジットも解放されないため、制裁を行うにはコストが必要です。また、制裁コストの上昇によって、sellerは詐欺を行いやすくなります。
DeDealの場合は、制裁のために行ったデポジットは、相手に制裁をやり返されない限りは返還されるため、制裁を行うハードルが低くなっています。
・正常な取引における低資金効率
マルチシグロックアップ型エスクローを利用した取引では、buyerはデポジットと商品代金が必要になります。一方、DeDealを利用した取引では、buyerは商品代金のみしか必要としないため、資金効率がより高くなります。
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